────────────────────────────────────────────────────────────────
1.研究テーマ
文様に込められた祈りを、体験として再構成する
昔の人々は、植物・水・光といった自然のモチーフに願いや祈りを重ね、それを文様として身にまとってきた。本研究では、そうした文様の意味や背景を、現代の体験型表現として再構成することを目指す。装飾としてではなく、行為と感覚を伴う「いのりのかたち」として文様を捉え直す試みである。
────────────────────────────────────────────────────────────────
2.背景・問題意識
文様は装飾として見られることが多いが、本来は自然への祈りと深く結びついていた
文様は、自然の力強さや美しさに縁起の良い意味を重ね合わせたものであり、昔の人々にとっては自然とのつながりを身にまとう行為でもあった。しかし現代において、文様の由来や祈りの意味を意識する機会は少なくなっている。本研究は、その「忘れられた意味」を体験として取り戻すことから出発した。
────────────────────────────────────────────────────────────────
3.問い
文様に込められた祈りや自然とのつながりを、どのように体験として伝えられるか
文様を単なる模様として見せるのではなく、実際に手を動かして関わる体験にすることで、その背景にある文化や感覚をより深く感じてもらえるのではないか。「伝統技法とデジタル表現を組み合わせることで、新しい「いのりのかたち」を提示できるのではないか」という仮説を出発点とした。
────────────────────────────────────────────────────────────────
4.表現方法
刷毛で布を染める行為を通して、文様が浮かび上がり、動き出す体験型作品
布に投影された文様に対して、体験者が刷毛を使って色を塗っていく。手の動きは測域センサーで取得し、Unity上で色が反映される。一定の面積まで塗ると色が広がり、文様のアニメーションが始まる。実際の引き染めの仕組みをモチーフにしながら、デジタルによって文様に命が吹き込まれたような表現を実現する。
────────────────────────────────────────────────────────────────
5.今後の展開
文化的背景・身体的な行為・デジタル技術が一つの体験となる
この企画は、文様を説明するのではなく、布を染める身体的な行為を通して、自然や祈りとのつながりを感じさせる点に特徴がある。引き染めの着想源として宮城県の工芸品を参照し、地域文化と現代表現の接続にもなる。何をテーマにするかだけでなく、その背景をどんな体験として他者に伝えるかを考えることが、今後の制作の核となる。
────────────────────────────────────────────────────────────────