1.研究テーマ
目に見えない存在に親しみを覚える表現を追求する
人は古くから、神や妖怪、モンスターといった架空の存在を身近なものとして受け入れ、生活や文化の中に取り入れてきた。日本でも、普段は信仰を意識していなくても神頼みをするという人がいるように、目に見えない存在は自然と人々の心に根付いている。本研究では、人々が見えない存在を受け入れる心理的要因と、親近感を生み出す表現について研究する。ょう権を統一したキャラクター同士を比較・検証することで、架空の存在が人々に親しまれる表現の特徴を明らかにし、人の心理への理解を深めることを目的とする。
2.背景・問題意識
架空の存在を見たこと無いのに、受け入れられているのが不思議だった
妖怪のような存在は、病気や災害のような自然現象や、事故や遭難のようなマイナスな出来事の象徴として語られることが多い。しかし、平和な日常の中で人間に親しまれている話も数多く残されている。本来は目に見えず、不気味だと感じてもおかしくない存在でありながら、キャラクターとして表現されることで、人々の願いや不安を受け止める存在になっていると考えた。本研究では、妖怪の伝承をもとに表現を研究し、人に親しみを持って受け入れられる表現の要素を明らかにしていく。
3.問い
人は架空の存在を何を基準に受け入れているのか
妖怪をキャラクターとして表現するうえで、外見や行動といった生まれ持った特徴と、性格や行動、人との関わり方といった後から形成される要素の二つが、人に受け入れられるかどうかに大きく影響しているのではないかと仮説を立てた。また、妖怪が持つ恐ろしさや不気味さだけでなく、優しさや親しみやすさといった側面も組み合わせることで、伝承の特徴を残しながら、人々に親しまれる表現を生み出せるのではないかと考え、この問いを設定した。
4.表現方法
伝承をもとに多様な「河童」を表現する
東北各地に伝承があり、一目でどんな存在か分かることを条件に題材を選定した。各地に伝わる伝承を収集、分析し、そこから着想を広げながら六体の河童を制作した。全てのデザインに、河童の象徴である皿を共通要素として取り入れる一方、体格や服装、色彩などの外見の変化を付け、性格や行動などの内面的な個性も設定した。また、一体につき二つ以上の伝承要素を反映させることで、同じ河童という種族でありながら、全く異なる印象や魅力を持つ表現を目指した。
5.今後の展開
地域性と動きが与える印象の研究
本企画は、同じ題材から生まれた複数のキャラクターが比較できる点に特徴がある。今回は東北地方に伝わる河童の伝承を題材としたが、今後は対象地域を全国へと広げることで、地域ごとの伝承がキャラクター表現に与える影響を比較・研究していきたい。また、本制作では外見や性格の設定を中心に表現したため、今後はアニメーションや3D表現を取り入れ、動きやしぐさが人々の印象や親しみやすさにどのような影響を与えるのかについても検証していきたい。
企画・制作
大門穂奈美
大門穂奈美
使用ソフト・ツール
Clip Studio/After Effect
参考文献・参考作品
日本海委妖怪辞典 東北
水木しげるの妖怪図鑑-47都道府県ごと内妖怪を訪ねる
アラマタヒロシの日本妖怪マップ